合意された手続の報酬が気になる前に、まず顧問税理士に確認すべきこと
「先生の事務所は報酬が安い、激安だと思います。奥村先生は公認会計士業界のサイゼリヤですね」という褒め言葉を頂戴した奥村でございます(笑)。
ここでは、合意された手続に対して支払わなくはならない報酬について別の角度から考えてみます。
合意された手続を公認会計士事務所にお願いしなければならなくなった背景には、ある事実があります。
それは、直近の本決算で財産的基礎の要件を満たせなかったということです。
ここがすべてのスタート地点になっています。この事実を踏まえて、今回の記事では少し違った角度から合意された手続の報酬について考えてみたいと思います。
本決算で要件を満たせなかったのは誰の責任か
すでに労働者派遣事業許可をお持ちの会社様であれば、許可の有効期間は決まっています。つまり、この決算の後に更新の手続きが必要だということは、もう数年前から明らかだったはずです。
顧問税理士が持つべきだった問題意識
顧問税理士の先生は、今回の本決算では財産的基礎の要件を満たせるように意識を持って決算作業に取り組む必要があると考えるべきだったのではないでしょうか。
そして、本決算の決算期末を迎える前に、着地見込みを計算して「財産的基礎の要件をちゃんと満たせるかな」という問題意識を持ってお仕事に取り組んでくださっていれば、状況は変わっていたはずです。
事前に対策できたはず
例えば、着地見込みで財産的基礎の要件のうち基準資産額を満たさない可能性があるとわかれば、事前に増資などの手続きを取って、財産的基礎の要件を満たせる形で本決算を着地させるということができたはずです。
それをせずに、何の対策もしないままに本決算を迎えて、財産的基礎の要件を満たせなかったということであれば、これはある意味、顧問税理士の先生の怠慢と言えなくもないわけです。
顧問税理士自身の認識
少なくとも、この税理士の先生は、自分の怠慢があったと考えていらっしゃることは間違いありません。
なぜなら、労働者派遣事業を営む会社の顧問税理士として、許可更新のタイミングと財産的基礎の要件は、当然把握しておくべき基本的な事項だからです。
職業会計人として、この点を見落としていたとすれば、それは顧問税理士としての責任を果たせなかったことを意味します。
合意された手続以外の選択肢:決算期変更
ここで重要なポイントがあります。
財産的基礎の要件を満たせなかった場合、必ずしも公認会計士事務所に合意された手続を依頼する必要はないということです。
決算期変更という方法
その後の月次決算において財産的基礎の要件を満たしたタイミングで、決算期変更を行って本決算をなされば良いのです。
例えば次のような手順です。
- 3月決算の会社が財産的基礎の要件を満たせなかった
- 5月の月次決算で要件を満たせる状況になった
- 決算期を3月から5月に変更し、5月決算として本決算を実施する
- この本決算書を使って許可更新申請を行う
この方法であれば、合意された手続は不要になります。当然、監査証明も不要です。
決算期変更の場合、顧問税理士の決算報酬はどうなるか
ここからが重要な話です。
決算期変更を行うということは、短期間のうちに2回決算を行うということになります。
- 1回目:当初予定していた3月決算(財産的基礎の要件を満たせず)
- 2回目:変更後の5月決算(財産的基礎の要件を満たす)
では、顧問税理士の先生は、この2回分の決算報酬を請求なさるでしょうか。
職業会計人としての見解
私は職業会計人として、顧問税理士の先生は決算報酬をお受け取りにならないのではないかと思います。
その理由は明確です。
着地見込みをちゃんと計算していなくて、うっかり財産的基礎の要件を満たせなかったという事態について、顧問税理士の先生には自責の念があるからです。
顧問税理士の先生が決算期変更で短期間のうちに2回決算を行うとしても、「報酬を2回分ください」とは言わないと思います。
少なくとも、2回目の決算については、無料で対応してくださる可能性が高いのではないでしょうか。
まず顧問税理士に確認すべきこと
以上を踏まえて、合意された手続業務の報酬のことが気になる会社様に、私が個人的におすすめしたいのは以下の手順です。
ステップ1:顧問税理士に決算期変更を提案する
まずは決算期変更によって、もう一度本決算作業を顧問税理士の先生に依頼できないか相談してみてください。
その際、以下のように質問されると良いでしょう。
「財産的基礎の要件を満たせなかったので、決算期変更を検討しています。その場合、短期間に2回決算を行うことになりますが、決算報酬は2回分お支払いする必要がありますか。それとも、追加の決算報酬は発生しませんか」
もっと直接的に言えば、「無料で決算作業をしてくれますよね」という確認ですが、そういう尋ね方は厚かましいような気がしますから、アイコンタクトで問うてみるのがいいかもしれませんね。
ステップ2:顧問税理士の回答によって判断する
顧問税理士の先生の回答は、おそらく以下のいずれかになるでしょう。
【パターンA】追加報酬は不要(無料で対応) この場合、決算期変更を選択するのが最も経済的です。合意された手続の報酬(数万円〜十万円)が一切不要になります。
【パターンB】追加報酬が必要 この場合でも、その追加報酬の金額と、合意された手続の報酬を比較検討することができます。
【パターンC】決算期変更では時間的に間に合わない 許可期限までの時間が限られている場合、決算期変更では間に合わないことがあります。この場合は、合意された手続を選択することになります。
ステップ3:公認会計士事務所に見積もりを依頼
顧問税理士への確認を済ませた後で、公認会計士事務所に合意された手続業務のお見積もりを求めても遅くはありません。
むしろ、この順序で検討する方が合理的です。
なぜこの順序が重要なのか
この順序で検討することが重要な理由は、以下の通りです。
理由1:無駄なコストを避けられる
顧問税理士が無料で決算期変更に対応してくれるのであれば、合意された手続の報酬を支払う必要がなくなります。
理由2:顧問税理士との関係を明確にできる
財産的基礎の要件を満たせなかったことについて、顧問税理士がどのように考えているかを確認できます。無料対応してくれるということは、顧問税理士自身も責任を感じていることの表れです。
理由3:最適な選択肢を比較検討できる
決算期変更の追加報酬と合意された手続の報酬を比較することで、最も経済的な選択肢を選ぶことができます。
決算期変更vs合意された手続:コスト比較
具体的な数字で比較してみましょう。
決算期変更のコスト
- 顧問税理士の追加決算報酬:0円〜30万円程度
- 決算期変更の登記費用:0円(株式会社の場合、登記不要)
- 合計:0円〜30万円程度
ただし、顧問税理士が責任を感じて無料対応してくれる場合、コストはゼロです。
合意された手続のコスト
- 公認会計士事務所への報酬:1万円〜30万円程度 (当事務所の場合:9,800円〜)
- 合計:1万円〜30万円程度
このように比較すると、顧問税理士が無料対応してくれるのであれば、決算期変更の方が圧倒的に経済的です。
決算期変更が選択できない場合
ただし、決算期変更が常に選択できるわけではありません。
時間的制約
更新申請の期限まで時間がない場合、決算期変更では間に合わないことがあります。決算作業には一定の時間が必要だからです。
この場合は、合意された手続を選択せざるを得ません。
月次決算でも要件を満たせない
その後の月次決算でも財産的基礎の要件を満たせない場合、決算期変更という選択肢は使えません。
この場合は、合意された手続でもクリアできませんので、別の方法が必要になります。(お電話でお問い合わせください)
当事務所の考え方:クライアントファースト
当事務所は、合意された手続業務に非常に精通している公認会計士事務所です。
しかし、だからといって、すべてのケースで合意された手続をおすすめするわけではありません。
最適な方法を提案
お客様にとって最も経済的で合理的な方法が何かを最優先に考えます。
- 決算期変更で対応できるなら、そちらをおすすめします
- 監査や合意された手続が不要な方法があれば、それを提案します
- 合意された手続が最適な場合のみ、お引き受けします
これが当事務所の「クライアントファースト」の姿勢です。
顧問税理士との関係も重視
また、顧問税理士との関係を壊すようなことは一切いたしません。
むしろ、顧問税理士と連携しながら、お客様にとって最適な解決策を見つけることを重視しています。
まとめ:合意された手続の報酬を考える前に
合意された手続の報酬が気になる会社様に、改めてお伝えしたいことをまとめます。
検討の順序
- まず、なぜ財産的基礎の要件を満たせなかったのか、背景を確認する
- 顧問税理士に、決算期変更での対応可能性を相談する
- 決算期変更の場合の追加報酬の有無を確認する
- 時間的制約や要件充足の可能性を検討する
- その上で、合意された手続が必要かどうかを判断する
- 必要な場合に、独立性のある公認会計士事務所に見積もりを依頼する
重要なポイント
本決算で財産的基礎の要件を満たせなかったことについて、顧問税理士には自責の念があることを認識してください。
着地見込みの計算や事前の対策提案は、本来、顧問税理士が行うべき業務です。
その責任を感じている顧問税理士であれば、決算期変更の決算作業を無料で対応してくれる可能性が高いのです。
経済合理性の追求
合意された手続の報酬を支払う前に、無料で対応できる選択肢がないか、必ず確認してください。
それが最も経済合理的な判断です。
お問い合わせをお待ちしています
当事務所では、合意された手続が本当に必要かどうかの判断も含めて、無料でご相談を承っています。
「決算期変更と合意された手続、どちらが良いか」といったご相談も大歓迎です。
お客様にとって最も経済的で合理的な方法を、一緒に考えましょう。
📞 03-6438-9134(派遣事業班直通)
公認会計士 奥村佳史
初回相談は完全無料です。顧問税理士への確認方法についても、具体的にアドバイスいたします。
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投稿者プロフィール

- 労働者派遣事業許可に必要な監査や合意された手続に精通し、数多くの企業をサポートしてきました。日々の業務では「クライアントファースト」を何よりも大切にし、丁寧で誠実な対応を心がけています。監査や手続を受けなくても財産的基礎の要件をクリアできる場合には、そちらを優先してご提案するなど、常にお客様の利益を第一に考える良心的な姿勢が信条です。お困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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