合意された手続業務で必須!ジョブカン会計で期中取引のない勘定元帳を印刷する方法
当事務所では、公認会計士による「労働者派遣事業の許可更新」に係る合意された手続業務(AUP)を数多く手がけております。今回は、クラウド会計ソフト「ジョブカン会計」をご利用の企業様で特に発生しがちな、総勘定元帳の印刷に関する重要な問題と、その解決策について詳しく解説します。
「出せない設定にしていた…」合意された手続業務でよくある一幕
先日、許可更新を控えた企業様より、合意された手続業務のご依頼をいただきました。私たちは定められた手続に従い、月次決算書と会計帳簿との突合作業を進めるため、総勘定元帳一式のご提出をお願いしました。
ところが、ご提出いただいた紙の総勘定元帳を確認すると、月次決算書に計上されているはずの「定期預金」や「資本金」といった勘定科目のページが存在しません。
担当者の方に確認したところ、次のようなお話になりました。
「ジョブカン会計で印刷したのですが、期中に動きのない科目は印刷されない設定にしているようでして…。」
実はこのケース、ジョブカン会計をお使いの企業様では非常に多く見られます。 ジョブカン会計は、デフォルト(初期設定)の状態であれば、残高がある科目は期中に取引がなくても総勘定元帳がきちんと印刷される仕様です。
しかし、日常の月次業務において、動きのない資本金などの科目まで毎月印刷するのは、時間や紙のコストを考えると非効率です。そのため、多くの企業様が業務効率化のために、あえて「期中取引がない勘定科目は印刷しない」設定に変更していらっしゃいます。
普段は非常に便利なこの設定が、労働者派遣事業の許可更新のような特別な場面で、「必要な帳簿が提出できない」という事態を引き起こす原因となっているのです。
なぜ全科目の元帳が必要か? 実務指針4450の定め
では、なぜ私たちは、期中に動きのない科目の総勘定元帳の提出にこだわるのでしょうか。それは、私たち公認会計士が準拠すべきルールに明確な定めがあるからです。
労働者派遣事業の許可更新に係る合意された手続業務は、公認会計士が「専門業務実務指針4450」というルールに則って実施します。この指針の「Ⅲ 適用指針 A3」には、労働局が許可要件を審査する上での関心事項として、以下のように記載されています。
A3.厚生労働省の所管労働局の関心は、…(中略)…以下の事項である。 (1) 提出された中間又は月次決算書に記載された残高のうち、許可要件に関連する金額が、帳簿記録の裏付けとなる証拠に基づいて計上されたものであるかどうか。特に、基準資産額及び現金預金額が帳簿記録の裏付けとなる証拠なく過大に計上されていないか、負債の金額が帳簿記録の裏付けに基づかずに過小に計上されていないかどうか。
この規定が意味するところは、「月次決算書の数字は、ちゃんと帳簿記録という裏付けがありますよね?」という点を確認する必要がある、ということです。そして、その「帳簿記録」の根幹をなすのが「総勘定元帳」に他なりません。
たとえ期中に増減がない科目であっても、それが資産や純資産として本当に存在し、月次決算書の金額と一致しているかを総勘定元帳で確認することは、合意された手続業務の根幹です。「期中増減がないから突合しない」という選択肢は、基本的に許されないのです。
解決策:設定を一時的にデフォルト(初期設定)に戻す
それでは、ジョブカン会計で日常業務のために変更した設定を一時的に元に戻し、残高があるすべての勘定元帳を印刷する手順を解説します。
■ ジョブカン会計:設定を元に戻す手順
以下の手順で「期中取引がない科目も印刷される」状態(デフォルトの状態)に戻せます。
- ジョブカン会計にログイン
- 左側のメニューから[帳簿] → [総勘定元帳]を開きます。
- 画面右上の[印刷]ボタンをクリックします。
- 印刷設定画面で[詳細設定]を開きます。
- 「取引が存在する科目のみ印字する」のチェックを外します(=OFFにします)。
- ここがONになっていると → 期中取引がない科目は印刷されません。
- OFFに戻すと → 残高がある科目はすべて印刷されます(デフォルトの動作)。
- 設定を変更したら、[印刷](PDFまたは紙)を実行します。
この手順で、これまで印刷されていなかった資本金や差入保証金など、期中に動きがなかった科目の元帳もすべて含まれるようになります。
まとめ
日常業務の効率化を目的とした設定変更が、許可更新という重要な局面で、手続きの遅延を招く可能性があります。合意された手続業務をご依頼いただく際は、普段お使いの設定を一時的に見直し、今回ご紹介した手順ですべての総勘定元帳をご準備いただけますと、手続きが非常にスムーズに進みます。
スムーズな手続きと確実な許可更新のためにも、ぜひこの設定方法をご確認いただき、帳簿の準備にお役立てください。
当事務所では、専門業務実務指針4450に準拠した合意された手続業務を多数お引き受けしております。許可更新の手続きでお困りの際は、お気軽にご相談ください。
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投稿者プロフィール

- 労働者派遣事業許可に必要な監査や合意された手続に精通し、数多くの企業をサポートしてきました。日々の業務では「クライアントファースト」を何よりも大切にし、丁寧で誠実な対応を心がけています。監査や手続を受けなくても財産的基礎の要件をクリアできる場合には、そちらを優先してご提案するなど、常にお客様の利益を第一に考える良心的な姿勢が信条です。お困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。





