ダン・アリエリー「予想どおりに不合理」に学ぶ人材派遣業の心理戦略

「時給を50円上げたのに、なぜ応募が増えないんだ?」

「条件の良い案件なのに、なぜスタッフが辞めるんだ?」

人材派遣会社の経営者なら、こんな疑問を感じたことがあるでしょう。

私たちは、人間は合理的に行動すると考えがちです。時給が高ければ応募が増える。条件が良ければ長く働く。シンプルな論理です。

しかし、現実は違います。

行動経済学の第一人者、ダン・アリエリー教授は、2008年に発表した名著「予想どおりに不合理(Predictably Irrational)」の中で、こう主張しています。

「人間は、予想どおりに不合理である」

つまり、人間は合理的ではない。しかし、その不合理さには一定のパターンがある。そのパターンを理解すれば、人の行動を予測し、より良い意思決定ができる、というのです。

本稿では、アリエリー教授の理論を人材派遣業に適用し、派遣スタッフの心理、派遣先企業の心理、そして経営判断における不合理さを解説します。

この記事を読めば、「なぜあの施策が失敗したのか」「どうすれば派遣スタッフが集まるのか」が見えてきます。


1. アリエリーが発見した「不合理な人間の行動パターン」

アリエリー教授は、数多くの実験を通じて、人間の不合理な行動パターンを明らかにしました。

人材派遣業に関係の深いものを見ていきましょう。

パターン1: 相対性の罠

人間は、絶対的な価値ではなく、相対的な価値で判断する。

アリエリー教授の有名な実験があります。

雑誌の定期購読の料金プランを3つ用意しました。

A: ウェブ版のみ 59ドル

B: 印刷版のみ 125ドル

C: ウェブ版+印刷版 125ドル

さて、どのプランが一番人気だったでしょうか?

答えは、C(ウェブ版+印刷版)です。

なぜでしょうか? BとCが同じ125ドルなら、ウェブ版もついてくるCの方が明らかにお得だからです。

では、Bを削除して、AとCだけにしたらどうなったでしょうか?

すると、多くの人がA(ウェブ版のみ)を選ぶようになりました。

Bという「比較対象」があったからこそ、Cが魅力的に見えたのです。

人間は、絶対的な価値を判断できません。常に、何かと比較して判断しています。

パターン2: おとり効果

比較対象を用意することで、特定の選択肢を魅力的に見せることができる。

人材派遣業への応用を考えましょう。

あなたの派遣会社が、3つの案件を求職者に提示するとします。

案件A: 時給1,500円、通勤30分、週5日

案件B: 時給1,600円、通勤60分、週5日

案件C: 時給1,600円、通勤30分、週5日

案件Cを選んでほしいとします。

このとき、案件Bを「おとり」として入れることで、案件Cが圧倒的に魅力的に見えます。

「Bと同じ時給なのに、通勤時間が半分! これは絶対お得だ!」

求職者は、AとCの絶対的な比較(時給100円の差と通勤時間)ではなく、BとCの相対的な比較(時給同じで通勤時間が短い)で判断します。

パターン3: アンカリング効果

最初に提示された数字が、その後の判断に影響を与える。

アリエリー教授の実験です。

学生に、「あなたの社会保障番号の下2桁を書いてください」と指示しました。

その後、「このワインの価格は、いくらだと思いますか?」と質問しました。

すると、社会保障番号の下2桁が大きい学生ほど、ワインの価格を高く見積もりました。

全く関係ない数字なのに、最初に見た数字が「アンカー(錨)」となり、判断に影響を与えたのです。

人材派遣業への応用です。

求職者に時給を提示するとき、最初に「時給1,800円」と伝えてから、「ただし、この案件は経験3年以上が必要です。あなたの場合は1,500円からスタートになります」と伝える。

すると、1,500円という金額が、1,800円という「アンカー」と比較されるため、低く感じます。

逆に、最初から「時給1,500円です。ただし、半年後に1,600円、1年後に1,700円と昇給します」と伝えれば、1,500円が基準となり、昇給が魅力的に見えます。

最初に何を伝えるかが、重要です。

パターン4: 無料の力

「無料」という言葉は、人間の判断を歪ませる。

アリエリー教授の実験を見てみましょう。

チョコレートを2種類用意しました。

A: 高級チョコ 15セント

B: 普通のチョコ 1セント

多くの人が、Aの高級チョコを選びました。

次に、両方の価格を1セント下げました。

A: 高級チョコ 14セント

B: 普通のチョコ 0セント(無料)

すると、多くの人がBの普通のチョコを選ぶようになりました。

価格差は変わらないのに(14セント)、「無料」という言葉が、人の選択を変えたのです。

人材派遣業への応用です。

「登録時の交通費、500円支給します」よりも、「登録時の交通費、無料です(当社が負担します)」の方が、魅力的に聞こえます。

「研修費用、半額補助します」よりも、「研修費用、無料です」の方が、参加率が上がります。

「無料」という言葉の力を、活用しましょう。


2. 「時給を上げても応募が増えない」の謎

ここからは、人材派遣業でよくある疑問を、アリエリーの理論で解き明かします。

疑問

「時給を1,400円から1,450円に上げたのに、応募が増えない。なぜだ?」

これは、多くの派遣会社が経験する現象です。

アリエリーの答え: 相対性の罠

人間は、絶対的な金額(1,450円)ではなく、相対的な比較で判断します。

求職者は、あなたの会社の案件だけを見ているわけではありません。

求人サイトで、何十件もの案件を比較しています。

もし、他の案件が以下のようだったら、どうでしょうか?

案件X: 時給1,500円、通勤40分、週5日 案件Y: 時給1,400円、通勤20分、週3日OK あなたの案件: 時給1,450円、通勤50分、週5日

時給を50円上げても、案件Xと比べると「中途半端」に見えます。

案件Yと比べると「時給は高いけど、通勤が遠くて週5日はきつい」と感じます。

解決策1: おとり効果を使う

求人サイトに、あえて複数の案件を並べて掲載します。

案件A: 時給1,400円、通勤50分、週5日

案件B(あなたの案件): 時給1,450円、通勤50分、週5日

案件C: 時給1,450円、通勤30分、週5日

案件Aを「おとり」にすることで、案件Bが「時給が高い!」と感じられます。

さらに案件Cを見せることで、「通勤が短い案件もあるんだ!」と注目を集めます。

解決策2: 比較軸を変える

時給以外の要素を強調します。

「時給1,450円」だけでなく、「研修充実(無料)」「週払いOK」「交通費全額支給」「正社員登用あり」など。

時給という一つの軸で比較されると、他社に負けます。

複数の軸を用意することで、「総合的に見て、この案件が一番良い」と思わせることができます。


3. 「条件の良い仕事なのに、すぐ辞める」の謎

次の疑問です。

疑問

「時給も高い、残業も少ない、職場環境も良い。なのに、なぜ派遣スタッフは3か月で辞めるんだ?」

これも、よくある悩みです。

アリエリーの答え: 社会規範と市場規範の衝突

アリエリー教授は、人間の行動を支配する2つの規範があると言います。

市場規範とは、お金で動く世界です。

「時給1,500円だから、8時間働く」 「残業代が出るから、残業する」

社会規範とは、人間関係や感情で動く世界です。

「同僚が困っているから、手伝う」 「上司に認められたいから、頑張る」 「職場の仲間と一緒にいるのが楽しいから、続ける」

アリエリー教授の重要な発見は、この2つの規範が混ざると、問題が起きるということです。

実験を見てみましょう。

ある保育園で、お迎えの遅刻が多いという問題がありました。

そこで、遅刻に対して罰金(1回5ドル)を導入しました。

すると、どうなったでしょうか?

遅刻が増えたのです。

なぜでしょうか?

罰金を導入する前、親は「先生に迷惑をかけてはいけない」という社会規範で行動していました。

しかし、罰金が導入されると、「5ドル払えば、遅刻してもいい」という市場規範に切り替わりました。

社会規範は消え、市場規範だけになったのです。

人材派遣業への適用

派遣スタッフが辞める理由を考えてみましょう。

「時給が高い」「残業が少ない」。これらは市場規範です。

しかし、人間は市場規範だけでは動きません。

もし、職場に以下のような問題があったら、どうでしょうか?

・派遣先の正社員が、派遣スタッフを見下す

・派遣スタッフ同士のコミュニケーションがない

・派遣会社の担当者が、派遣開始後に一度も連絡してこない

・「時給分の仕事をしろ」と機械的に扱われる

これらは、社会規範の欠如です。

人間は、お金だけでは満足しません。認められたい、仲間と繋がりたい、感謝されたい。

社会規範が満たされないと、いくら時給が高くても、辞めてしまいます。

解決策: 社会規範を取り入れる

以下のような施策を試してみてください。

派遣開始後、1週間目に電話をかける。「困っていることはありませんか? 何かあれば、いつでも連絡してください」

派遣先企業に、「派遣スタッフにも、朝の挨拶と感謝の言葉をお願いします」と依頼する。

派遣スタッフ同士の交流会を開催する。「同じ境遇の仲間がいる」という安心感を作る。

誕生日に、メッセージカードを送る。

これらは、お金では買えない「社会規範」です。

しかし、定着率を劇的に改善します。


4. 「高い料金を提示すると、断られる」の謎

次は、派遣先企業との交渉での疑問です。

疑問

「派遣料金を値上げしたら、断られた。適正な料金なのに、なぜ理解してもらえないんだ?」

アリエリーの答え: アンカリング効果

派遣先企業は、過去の料金が「アンカー(基準)」になっています。

もし、今まで時給1,500円(派遣料金2,000円)だったのに、いきなり時給1,600円(派遣料金2,200円)と提示したら、どう感じるでしょうか?

「10%も上がった! 高すぎる!」と感じます。

絶対的な金額(2,200円)が高いのではなく、過去の金額(2,000円)との比較で、高いと感じるのです。

解決策1: 段階的に値上げする

一度に10%上げるのではなく、半年ごとに3%ずつ上げる。

3%なら、「まあ、仕方ないか」と受け入れられやすくなります。

解決策2: アンカーを変える

値上げを伝える前に、「市場相場」を提示します。

「現在、この業界の派遣料金の平均は、時給2,500円です。当社は、長年のお付き合いということで、2,200円でご提案させていただきます」

2,500円という高いアンカーを先に示すことで、2,200円が「安い」と感じられます。

解決策3: 付加価値を見せる

単純に料金を上げるのではなく、サービスの向上とセットで提示します。

「今回の値上げに伴い、以下のサービスを追加いたします」

・派遣スタッフへの月1回の定期面談

・急な欠員にも、24時間以内に代替スタッフを手配

・派遣スタッフへの専門研修(無料)

料金の上昇と、サービスの向上を同時に提示することで、「値上げ」ではなく「グレードアップ」という印象を与えます。


5. 「お金より大切なもの」の実験

アリエリー教授の最も有名な実験の一つを紹介します。

実験内容

学生に、簡単なパソコン作業をしてもらいました。

グループを3つに分けました。

グループA: 報酬なし(ボランティア) グループB: 少額の報酬(5ドル) グループC: 高額の報酬(50ドル)

さて、どのグループが一番熱心に作業をしたでしょうか?

結果は、以下の通りです。

グループC(50ドル)が最も熱心に作業しました。 次に、グループA(報酬なし)が熱心に作業しました。 最も手を抜いたのは、グループB(5ドル)でした。

なぜでしょうか?

グループCは、市場規範で動きました。「50ドルもらえるなら、頑張ろう」

グループAは、社会規範で動きました。「ボランティアで人の役に立つのは、気持ちが良い」

グループBは、どちらでもありませんでした。「5ドル? こんな少額じゃ、やる気が出ない」

中途半端な金額は、社会規範を壊し、市場規範としても不十分。最悪の結果になります。

人材派遣業への適用

派遣スタッフへのインセンティブを考えてみましょう。

悪い例です。

「今月、遅刻・欠勤ゼロだったら、500円の商品券をプレゼント」

500円という中途半端な金額は、「たった500円? バカにしてるのか」と感じさせます。

社会規範(頑張りたい)を壊し、市場規範(500円じゃ足りない)としても不十分です。

良い例1: 高額のインセンティブ

「今月、遅刻・欠勤ゼロだったら、5,000円のボーナス」

これなら、市場規範として機能します。

良い例2: 金銭以外の報酬

「今月、遅刻・欠勤ゼロだったら、社長から直筆の感謝状と、社内報に名前が掲載されます」

金銭ではなく、承認と感謝。これは社会規範で、心に響きます。

中途半端な金銭報酬は、避けましょう。


6. 実例: 社会規範を取り入れて成功したH社

ここからは、アリエリーの理論を実践し、成功した派遣会社の実例を紹介します。

背景

H社は、大阪府の中小派遣会社(従業員10名)です。

物流業中心に派遣していましたが、派遣スタッフの3か月定着率が45%と低迷していました。

時給は業界平均より高い設定でしたが、「お金だけでは人は残らない」と社長は悩んでいました。

転機

社長は、アリエリーの「予想どおりに不合理」を読み、こう気づきました。

「うちは、市場規範(時給)ばかり強調してきた。社会規範(人間関係、感謝、承認)を取り入れれば、定着率が上がるのではないか?」

実行したこと

H社は、以下の5つの施策を導入しました。

施策1: 派遣開始初日、社長自らが派遣先に同行し、派遣スタッフを紹介する。

「この人は、うちの大切なスタッフです。よろしくお願いします」と、派遣先の責任者に伝える。

派遣スタッフは、「社長が自分のことを大切に思ってくれている」と感じます。

施策2: 派遣開始後1週間、2週間、1か月の時点で、必ず電話をする。

「困っていることはありませんか? 職場の雰囲気はどうですか?」

お金の話ではなく、気持ちの話をします。

施策3: 誕生日に、社長直筆のメッセージカードを送る。

「〇〇さん、誕生日おめでとうございます。いつも頑張ってくれて、ありがとう」

カードには、500円のクオカードを添えます(高額ではなく、気持ち)。

施策4: 年2回、派遣スタッフ全員を集めて、感謝会を開催する。

BBQや食事会。社長が一人ひとりに「ありがとう」と伝えます。

派遣スタッフ同士も交流し、「仲間がいる」という安心感が生まれます。

施策5: 社内報を月1回発行し、派遣スタッフの紹介記事を掲載する。

「今月の MVP」として、頑張っているスタッフを紹介。

承認と感謝を、形にします。

結果(1年後)

以下の成果が出ました。

・3か月定着率が45%から72%に大幅改善

・派遣スタッフからの紹介で、新規登録者が年間80名増加

・派遣先企業から「H社のスタッフは、やる気がある」と高評価

・時給は据え置きだが、定着率向上により、採用コストが削減され、営業利益率が4%から8%に改善

なぜ成功したのか?

アリエリーの「社会規範」を取り入れたからです。

時給(市場規範)だけでなく、感謝・承認・仲間意識(社会規範)を提供することで、派遣スタッフの心をつかみました。


7. 実例: おとり効果で応募を増やしたI社

次は、おとり効果を使った成功例です。

背景

I社は、東京都の派遣会社(従業員18名)です。

製造業中心に派遣していましたが、求人広告を出しても、応募が少ない状況でした。

問題

I社の求人は、以下のようでした。

時給1,500円、勤務地:埼玉県川口市、週5日、8:00-17:00

しかし、求人サイトには、似たような案件が何十件も並んでいます。

I社の案件は、埋もれて目立ちません。

転機

社長は、アリエリーの「おとり効果」を学び、こう考えました。

「うちの案件だけを単独で出すから、他社と比較されて埋もれる。複数の案件を並べて、相対的に魅力を見せよう」

実行したこと

I社は、求人サイトに3つの案件を並べて掲載しました。

案件A: 時給1,400円、勤務地:埼玉県川口市、週5日、8:00-17:00

案件B(本命): 時給1,500円、勤務地:埼玉県川口市、週5日、8:00-17:00

案件C: 時給1,500円、勤務地:埼玉県川口市、週3日、9:00-18:00

案件Aは「おとり」です。

案件Bと比べると、「Bの方が時給が100円高い! お得だ!」と感じます。

案件Cは、週3日勤務を希望する人向けです。

これにより、「週5日で稼ぎたい人はB、週3日で働きたい人はC」と選択肢を与えます。

結果

以下の成果が出ました。

・案件Bへの応募が、従来の2.3倍に増加

・案件Cにも、予想以上の応募(週3日を希望する主婦層が多数)

・案件A(おとり)への応募は、ほぼゼロ(想定通り)

なぜ成功したのか?

アリエリーの「おとり効果」と「相対性」を活用したからです。

単独の案件を出すのではなく、複数の案件を並べることで、相対的な魅力を演出しました。


8. 「不合理」を味方につける5つの実践法

アリエリーの理論を踏まえ、人材派遣会社が今すぐ実践できる方法をまとめます。

実践法1: 「無料」を活用する

「登録時の交通費、500円支給」ではなく、「登録時の交通費、無料(当社負担)」

「研修費用、半額補助」ではなく、「研修費用、無料」

「無料」という言葉は、人の心を動かします。

実践法2: 複数の選択肢を用意する

求人を1つだけ出すのではなく、3つ並べて出す。

1つは「おとり」、1つは「本命」、1つは「別の層を狙う」

相対的な比較により、本命の魅力が際立ちます。

実践法3: アンカーを意識する

時給を伝える順番を工夫する。

最初に高い金額を示してから、実際の金額を伝える。

「市場相場は2,500円ですが、当社は2,000円です」

2,500円がアンカーとなり、2,000円が安く感じられます。

実践法4: 社会規範を取り入れる

金銭的報酬だけでなく、感謝・承認・仲間意識を提供する。

誕生日のメッセージカード、感謝会の開催、社内報での紹介。

これらは、お金では買えない価値です。

実践法5: 中途半端な金銭報酬を避ける

インセンティブを出すなら、十分な金額(5,000円以上)か、金銭以外の報酬(感謝状、社内表彰)にする。

500円、1,000円といった中途半端な金額は、逆効果です。


9. 「不合理」は予測可能

アリエリー教授の最も重要なメッセージは、タイトルにあります。

「予想どおりに不合理(Predictably Irrational)」

人間は不合理です。しかし、その不合理さには、パターンがあります。

パターン1: 人間は、絶対的な価値ではなく、相対的な比較で判断する

パターン2: 人間は、最初に見た数字(アンカー)に影響される

パターン3: 人間は、「無料」という言葉に弱い

パターン4: 人間は、お金だけでは動かない。感謝・承認・仲間意識も必要

パターン5: 中途半端な金銭報酬は、逆効果

これらのパターンを理解すれば、人の行動を予測できます。

そして、より良い意思決定ができます。


10. まとめ

ダン・アリエリーの「予想どおりに不合理」は、人材派遣業に多くの示唆を与えます。

人間は、合理的ではありません。

時給が高ければ応募が増える、とは限りません。

条件が良ければ長く働く、とは限りません。

しかし、人間の不合理さには、パターンがあります。

そのパターンを理解し、活用することで、派遣スタッフの心をつかみ、派遣先企業との交渉を有利に進めることができます。

今日から、以下を実践してください。

  1. 「無料」を活用する
  2. 複数の選択肢を用意し、おとり効果を使う
  3. アンカーを意識する
  4. 社会規範(感謝・承認・仲間意識)を取り入れる
  5. 中途半端な金銭報酬を避ける

人間は、予想どおりに不合理です。

その不合理さを味方につけた企業が、勝ちます。


11. 実践ワークシート

最後に、書き込めるワークシートを用意しました。

【質問1】あなたの会社の求人で、「おとり」として使える案件はありますか?

(               )

【質問2】派遣スタッフへの報酬・インセンティブで、中途半端な金額を使っていませんか? それは何ですか?

(               )

【質問3】社会規範(感謝・承認・仲間意識)を高めるために、明日から何ができますか?(3つ)

  1. (               )
  2. (               )
  3. (               )

【質問4】派遣先企業への料金交渉で、どんなアンカーを設定できますか?

(               )

このワークシートに書き込めたとき、あなたの会社には「人間の不合理さを活用する戦略」が生まれています。


参考文献

日本人材派遣協会「派遣スタッフ満足度調査」(2024年版)

Ariely, D. (2008). "Predictably Irrational: The Hidden Forces That Shape Our Decisions" HarperCollins.
邦訳: ダン・アリエリー著、熊谷淳子訳『予想どおりに不合理』早川書房、2008年

厚生労働省「派遣労働者実態調査」(2024年度)

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投稿者プロフィール

jinzaihaken
jinzaihaken
労働者派遣事業許可に必要な監査や合意された手続に精通し、数多くの企業をサポートしてきました。日々の業務では「クライアントファースト」を何よりも大切にし、丁寧で誠実な対応を心がけています。監査や手続を受けなくても財産的基礎の要件をクリアできる場合には、そちらを優先してご提案するなど、常にお客様の利益を第一に考える良心的な姿勢が信条です。お困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。