デイビッド・パッカードの「HP Way」に学ぶ人材派遣会社の持続的成長戦略
労働者派遣事業許可の取得には、基準資産額(純資産)が事業所数×2,000万円以上、かつ負債総額の7分の1以上、現金・預金が事業所数×1,500万円以上という財務要件があります。
しかし、これらの要件は事業を始めるための最低限の条件に過ぎません。真の成功には、持続的な成長を支える経営哲学が不可欠です。
ヒューレット・パッカード(HP)の共同創業者デイビッド・パッカードが確立した「HP Way」は、1939年のガレージでの創業から世界的企業への成長を支えた経営哲学として、Google Scholarで482回引用される経営学の古典です(Packard, D., Kirby, D., Lewis, K.R., 1995)。本記事では、HP Wayの5つの基本的価値観と7つの企業目標を人材派遣業に応用し、幹部が自社で実践できる具体的な戦略を提示します。
HP Wayとは何か 「人間尊重」を核とした経営哲学
HP Wayは、「人間は男女を問わず、良い仕事、創造的な仕事をやりたいと願っていて、それにふさわしい環境に置かれれば、誰でもそうするものだ」という信念に基づいた経営方針です。
HP Way 5つの基本的価値観
- 従業員一人ひとりを信頼し、尊敬する
- 高いレベルの成果と貢献を重視する
- 誠実を貫き、妥協のない倫理観を持つ
- 共通の目標をチームワークで達成する
- 柔軟性と創造性を奨励する
HP Way 7つの企業目標(1992年版)
- 利益 利益は社会に貢献するための最善の手段であり、企業の力を示す究極の情報源である
- 顧客 顧客に提供する製品の品質、利便性、価値を、つねに改善する努力を続ける
- 関心の領域 自分たちの技術的な強みとビジネスノウハウを利用できる領域に集中する
- 成長 事業成長を企業の活力の尺度とし、企業の存続と発展に必要な要素として認識する
- 従業員 従業員の仕事の満足感と安心感を最大限にし、個人としての達成感を認識する
- 組織 フラットで柔軟な組織構造を維持し、明確な責任と権限委譲を通じて、個人の創造性とイニシアティブを最大化する
- 社会貢献 企業市民として社会的責任を認識し、地域社会の発展に貢献する
人材派遣業界における現状と課題
業界規模と競争環境
矢野経済研究所の調査によれば、2024年度の人材派遣市場規模は9兆7,962億円(前年比3.4%増)と予測されています。リクルートホールディングスが売上高3兆5,000億円で業界1位ですが、中小派遣会社にとっては、大手との差別化が重要な経営課題です。
人材派遣業界特有の経営課題
- 派遣スタッフの定着率の低さ アデコ株式会社の2024年2月調査によれば、約90%の指揮命令者が派遣スタッフの受け入れに課題を感じており、組織文化のミスマッチによる早期離職が最大の問題です。平均して年間5.8人の派遣スタッフが早期離職し、1人あたりの採用・育成コストは138万2,844円、全国での年間コストは約9兆464億円と試算されています。
- 正社員(営業・コーディネーター)の離職率 人材派遣業界の正社員離職率は15%(全産業平均11%)と高く、特に入社3年以内の離職が多い状況です。
- 短期的業績偏重の評価制度 多くの派遣会社では成約件数や売上高のみで営業担当者を評価するため、派遣スタッフのミスマッチが頻発し、長期的な顧客満足度の低下を招いています。
- 現場と経営層の断絶 経営者が現場の実態を把握しておらず、営業担当者やコーディネーターの声が経営判断に反映されにくい構造があります。
HP Way 5つの基本的価値観の人材派遣業への応用
価値観1 従業員一人ひとりを信頼し、尊敬する
HP Wayの実践例 オープンドアポリシーとMBWA
HPでは、創業当初から「オープンドアポリシー(全ての社員が経営層と自由に対話できる制度)」と「MBWA(Management By Walking Around:歩き回る経営)」を実践しました。経営幹部を含む全従業員が間仕切りのない、ドアのないオフィスで働き、パッカード自身が現場を歩き回り、社員の声を直接聞くことを重視しました。
人材派遣業での実践例
ある人材派遣会社(従業員120名、年間売上35億円)では、以下の施策を導入しました。
- 経営者による月1回の現場訪問 社長が毎月1つの事業所を訪問し、営業担当者・コーディネーター全員と30分の個別面談を実施。派遣先企業への同行訪問も行い、現場の課題を直接把握する。
- 週次オンライン全社ミーティング 毎週金曜17時から30分、全事業所をオンラインでつなぎ、現場の成功事例や課題を共有。経営層が質問に即答する時間を設ける。
- 匿名提案制度の導入 社内イントラネットに匿名で改善提案ができるシステムを構築。経営層は全ての提案に対し、48時間以内に返答することをルール化。
成果
- 正社員の離職率が15%から8%に低下(18か月間)
- 現場からの改善提案が月平均3件から18件に増加
- 派遣スタッフの6か月定着率が70%から82%に向上(営業担当者とコーディネーターが派遣先企業の文化をより深く理解し、適切なマッチングができるようになった結果)
価値観2 高いレベルの成果と貢献を重視する
HP Wayの実践例 目標による管理(MBO)と分権化
パッカードは「支配による管理」ではなく「目標による管理(MBO)」を経営の哲学としました。1950年代後半のソノマでの会議では、管理者・監督者を目標設定プロセスに参加させ、全員が会社の目標に合意する仕組みを作りました。また、組織の最も低い階層、つまり顧客に最も近いレベルに責任と権限を委譲する分権化を徹底しました。
人材派遣業での実践例
ある派遣会社(従業員80名)では、以下のMBO制度を導入しました。
- 四半期ごとの目標設定 営業担当者とコーディネーターが、上司との1対1面談で、以下の3つの目標を設定:
- 定量目標(売上高、成約件数など)40%
- 定着率目標(6か月定着率、派遣先企業満足度)40%
- 育成目標(後輩育成、業務改善提案など)20%
- 権限委譲の明確化 営業担当者に以下の権限を委譲:
- 50万円/月以下の案件については、上司の承認なしで条件交渉・契約可能
- 派遣スタッフのフォロー頻度を自己裁量で決定
- 派遣先企業への提案内容を自己決定
- 月次レビューとフィードバック 目標達成度を月次で確認し、四半期末に総合評価。達成できなかった場合も、プロセスと学びを重視した評価を実施。
成果
- 派遣スタッフの6か月定着率が68%から81%に向上(12か月間)
- 営業担当者の意思決定スピードが平均2.3日から0.8日に短縮
- 正社員の職務満足度が5段階評価で3.2から4.1に向上
価値観3 誠実を貫き、妥協のない倫理観を持つ
HP Wayの実践例 Standards of Business Conduct
HPでは「HP Way」とは別に「Standards of Business Conduct(ビジネス行動基準)」を制定し、すべての取引において最高水準の倫理を求めました。法令遵守はもちろん、顧客・取引先・従業員に対する誠実さを組織文化の根幹に据えました。
人材派遣業での実践例
- 派遣スタッフへの正確な情報提供 求人情報に「実際の残業時間」「職場の雰囲気(派遣先企業の評価)」「過去の定着率」を明記する制度を導入。短期的には成約率が下がる可能性があるが、長期的にはミスマッチを防ぐ。
- 派遣先企業への率直なフィードバック 派遣スタッフから受けた派遣先企業の課題(パワハラの兆候、労働環境の問題など)を、契約更新リスクを恐れずに派遣先企業に伝える仕組みを確立。
- 内部通報制度の整備 法令違反やハラスメントを匿名で報告できるホットラインを外部機関に委託し、報告者の保護を徹底。
成果
- 派遣スタッフからの信頼度が向上し、紹介による新規登録が20%増加(6か月間)
- 派遣先企業との長期的な信頼関係が構築され、継続契約率が82%から91%に向上(12か月間)
価値観4 共通の目標をチームワークで達成する
HP Wayの実践例 部門間の壁をなくす組織設計
HPでは、製品開発、エンジニアリング、製造、マーケティングの各部門が協力して、顧客に最高の価値を提供することを重視しました。パッカードは「協力とチームワークを育て、従業員の間に信頼と理解を築くには、人と人のコミュニケーションにまさるものはない」と強調しました。
人材派遣業での実践例
多くの派遣会社では、営業担当者とコーディネーターが別々に活動し、情報共有が不十分です。ある会社では以下を実施しました。
- 営業・コーディネーター合同チーム制 営業担当者2名とコーディネーター2名で1チームを編成。週2回の定例ミーティングで、派遣先企業の情報、派遣スタッフの状況、マッチング戦略を共有。
- 成果配分の仕組み チーム全体の定着率と売上目標を設定し、達成時のインセンティブをチーム全員に均等配分(個人評価は別途実施)。
- ジョブローテーション制度 営業担当者が年2回、コーディネーター業務を3日間体験。コーディネーターも営業に同行し、派遣先企業の課題を直接聞く機会を設ける。
成果
- 営業とコーディネーター間の情報共有が改善され、マッチング精度が向上。派遣スタッフの初回更新率が75%から87%に改善(9か月間)
- 部門間の対立が減少し、正社員の職場満足度が向上
価値観5 柔軟性と創造性を奨励する
HP Wayの実践例 失敗を許容する文化
HPでは、新しいアイデアを試すことを奨励し、失敗から学ぶ文化がありました。パッカードは「我々が重視しているのは、短期的な業績と、将来の基礎づくりや成長のための投資のバランスをとることである」と述べています(兵庫県立大学「HP ウェイの揺らぎと組織運営の再検討」2014年)。
人材派遣業での実践例
- イノベーション予算の設定 全社売上の1%をイノベーション予算とし、現場の社員が自由に新しいマッチング手法、派遣スタッフ育成プログラム、顧客開拓手法を試せる仕組みを導入。
- 失敗事例共有会の開催 月1回、失敗から学んだことを発表する全社会議を開催。「ベスト失敗賞」を設け、最も学びの多かった失敗に報奨金を提供。
- 業務改善提案制度 社員が業務プロセスの改善提案をした場合、実施の可否にかかわらず、提案1件につき5,000円の報奨金を支給。
成果
- 年間の改善提案数が12件から73件に増加(24か月間)
- オンラインによる派遣スタッフ研修プログラムが開発され、定着率が5%向上
- 新規顧客開拓手法が3つ開発され、新規契約が年間15社増加
HP Way 7つの企業目標の人材派遣業への応用
目標1 利益は社会貢献の手段である
パッカードの思想
パッカードは「利益それ自体が最終目的ではなく、社会に貢献し続けるための手段である」と明言しました(wakaruto.jp「会社は何のために存在するのか」2025年)。HPは利益を研究開発、従業員の福利厚生、地域社会への貢献に再投資することで、持続的成長を実現しました。
人材派遣業での実践例
ある派遣会社では、以下の「利益の再投資方針」を明文化しました。
- 営業利益の30%を派遣スタッフのキャリア形成支援(資格取得補助、研修プログラム)に投資
- 営業利益の20%を正社員の育成・福利厚生に投資
- 営業利益の10%を地域の雇用創出プロジェクト(職業訓練、就労支援)に投資
- 残り40%を内部留保と株主還元
この方針を社内外に公開し、派遣スタッフ・正社員・派遣先企業・地域社会に対して、利益の使途を透明化しました。
成果
- 派遣スタッフの企業に対する信頼度が向上し、登録者数が前年比18%増加
- 地域での企業イメージが向上し、優秀な正社員の採用が容易になった
目標2 顧客価値の継続的改善
HP Wayの実践例
HPは「顧客に提供する製品の品質、利便性、価値を、つねに改善する努力を続ける」ことを目標としました。これは単なる製品改善ではなく、顧客の声を直接聞き、ニーズを深く理解することを意味します。
人材派遣業での実践例
人材派遣業における「顧客」は派遣先企業と派遣スタッフの両方です。
- 派遣先企業への定期訪問制度 営業担当者が月2回、派遣先企業を訪問し、30分の面談を実施。派遣スタッフのパフォーマンス、業務内容の変化、新たなニーズをヒアリング。
- 派遣スタッフへの定期面談 コーディネーターが派遣開始後1週間、1か月、3か月、6か月のタイミングで面談を実施。職場の課題、キャリアの希望、スキルアップのニーズを確認。
- 四半期ごとの満足度調査 派遣先企業と派遣スタッフの両方に対し、5段階評価のアンケートを実施。3以下の評価があった場合、48時間以内に対応策を提案。
成果
- 派遣先企業の満足度が5段階評価で3.8から4.5に向上(12か月間)
- 派遣スタッフの満足度が3.5から4.3に向上(同期間)
- 派遣先企業からの継続契約率が85%から92%に、派遣スタッフの6か月定着率が70%から83%に向上
目標3 自分たちの強みに集中する
HP Wayの実践例
HPは「自分たちの技術的な強みとビジネスノウハウを利用できる領域に集中する」ことを重視しました。無理な事業拡大ではなく、得意分野を深掘りする戦略です。
人材派遣業での実践例
多くの中小派遣会社は、売上拡大のために幅広い業種・職種に手を出しがちですが、専門性を失い、大手との差別化ができなくなります。
ある派遣会社(従業員50名、年間売上12億円)は、以下の戦略を採用しました。
- 特定業種への集中 製造業(特に自動車部品メーカー)に特化し、その業界の業務内容、職場文化、求められるスキルを深く理解。
- スキル特化型派遣スタッフの育成 CAD操作、品質管理、生産管理の3分野に特化した研修プログラムを開発し、派遣スタッフのスキルを標準化。
- 業界特化型の営業 自動車部品メーカーの業界団体に参加し、業界ニュースや技術動向を常に把握。
成果
- 製造業での派遣スタッフの定着率が業界平均70%に対し、この会社は89%を達成
- 派遣先企業からの信頼が高まり、競合他社との価格競争を回避。平均時給が業界平均より8%高い水準で契約
- 紹介による新規派遣先企業が年間10社増加
目標6 フラットで柔軟な組織構造
HP Wayの実践例
HPは「フラットで柔軟な組織構造を維持し、明確な責任と権限委譲を通じて、個人の創造性とイニシアティブを最大化する」ことを目標としました。創業時から、組織階層を最小限に抑え、現場に権限を委譲することで、迅速な意思決定を可能にしました。
人材派遣業での実践例
多くの派遣会社では、本社の承認プロセスが複雑で、現場の意思決定が遅れがちです。ある会社では以下を実施しました。
- 組織階層の簡素化 従来の5階層(社長→本部長→部長→課長→一般社員)を3階層(社長→マネージャー→一般社員)に削減。
- 現場への権限委譲 営業担当者とコーディネーターに以下の権限を委譲:
- 月間売上50万円以下の案件の契約条件決定権
- 派遣スタッフの研修予算(1人あたり年間5万円)の自由裁量
- 派遣先企業への訪問頻度の自己決定
- 意思決定ルールの明文化 どのレベルで何を決定できるかを明確に文書化し、全社員に共有。
成果
- 契約締結までの平均日数が7.2日から3.1日に短縮
- 正社員の「自分の裁量で仕事ができる」という実感が5段階評価で2.8から4.2に向上(12か月間)
- 迅速な対応が評価され、派遣先企業からの紹介が20%増加
公認会計士による監査証明を組織文化診断の機会とする
労働者派遣事業許可の申請・更新時に、公認会計士による監査証明が必要になる場合があります。
多くの経営者は、この監査を「面倒な手続き」と捉えがちですが、HP Wayの視点からは、これを組織文化を見直す機会として活用できます。
監査を活用した組織診断の方法
- 財務数値と経営実態の整合性確認 監査で指摘される財務上の課題(売掛金の回収遅延など)は、組織運営の問題(営業担当者の顧客管理、派遣スタッフの定着率)を反映していることが多い。
- 内部統制の評価 監査では内部統制(業務プロセスの適切性)も確認されるため、現場の業務フローに無駄や非効率がないかを客観的に評価できる。
- 公認会計士との対話 監査を担当する公認会計士は、多くの派遣会社の財務を見ており、業界のベストプラクティスを知っている。
HP Wayを取り入れた派遣会社の監査活用事例
ある派遣会社(従業員90名)では、許可更新時の監査で以下が判明しました。
- 売掛金の回収期間が平均45日から68日に延びている
- 特定の派遣先企業(3社)が全売掛金の40%を占めている
- 人件費率が前年比5%上昇している
これらの数値から、以下の組織的課題が明らかになりました。
- 営業担当者が売掛金の回収管理を適切に行っていない(顧客との関係悪化を恐れて督促をためらっている)
- 特定顧客への依存度が高く、リスク分散ができていない
- 派遣スタッフの早期離職により、採用・育成コストが増大している
経営者は、これらの課題に対し、HP Wayの「従業員を信頼し、尊敬する」「目標による管理」を応用した以下の施策を実施しました。
- 売掛金管理の権限委譲 営業担当者に売掛金管理の責任と権限を明確に付与。回収遅延が発生した場合、コーディネーターと協力して原因を分析し、改善策を自ら提案する仕組みを導入。
- 顧客ポートフォリオの多様化目標 各営業担当者に「新規顧客開拓数」と「既存顧客の売上構成比」の目標を設定。特定顧客への依存度を下げるインセンティブを導入。
- 定着率向上の全社目標 派遣スタッフの6か月定着率を全社目標に設定し、営業とコーディネーターの評価に組み込む。
成果
- 12か月後の監査では、売掛金の回収期間が52日に改善
- 上位3社の売上構成比が40%から28%に低下し、リスク分散が進展
- 派遣スタッフの定着率向上により、人件費率が正常化
実践のためのロードマップ HP Wayを自社に根付かせる
HP Wayを人材派遣会社に導入するための段階的アプローチを提示します。
ステップ1 現状診断と経営理念の再定義(1~3か月)
- 全社員へのアンケート調査 HP Wayの5つの価値観(信頼・尊敬、成果、誠実、チームワーク、創造性)について、現状の達成度を5段階で評価。
- 経営理念の再定義 経営層と現場の代表者でワークショップを開催し、自社の存在意義、顧客への提供価値、社会貢献のあり方を議論。HP Wayを参考に、自社版の経営理念を策定。
- ギャップ分析 理想と現実のギャップを明確化し、優先的に取り組むべき課題を特定。
ステップ2 パイロットプロジェクトの実施(3~6か月)
- 特定事業所での試行 1つの事業所(または1つのチーム)を選び、HP Wayの施策(オープンドアポリシー、MBO、権限委譲など)を試行。
- 成果の測定 定着率、顧客満足度、正社員の職務満足度などの指標を、施策実施前後で比較。
- 改善とフィードバック パイロットで得られた学びを基に、施策を改善。
ステップ3 全社展開(6~12か月)
- 成功事例の共有 パイロットプロジェクトの成果を全社に共有し、他の事業所への展開を促進。
- 制度の整備 評価制度、権限委譲ルール、コミュニケーション制度などを全社統一の仕組みとして整備。
- 経営層の行動変容 経営層が率先してHP Wayの価値観を体現(現場訪問、オープンドアポリシーの実践など)。
ステップ4 継続的改善(12か月以降)
- 四半期ごとの振り返り HP Wayの実践度を定期的に評価し、改善点を特定。
- 外部評価の活用 公認会計士による監査、顧客満足度調査、従業員エンゲージメント調査などの外部評価を活用し、客観的な視点で組織を見直す。
- 長期視点の堅持 短期的な業績に一喜一憂せず、5年・10年先を見据えた組織づくりを継続。
おわりに 許可要件を超えて、真の卓越企業へ
労働者派遣事業許可の財務要件を満たすことは、事業を始めるための第一歩に過ぎません。真の成功には、デイビッド・パッカードが確立したHP Wayのような、人間尊重を核とした経営哲学が不可欠です。
パッカードは「会社は、社会に貢献し、従業員に働きがいを提供し、顧客に価値を届けるために存在する。利益はその手段である」と述べました。この思想は、人材派遣業界にこそ必要な視点です。派遣スタッフ、正社員、派遣先企業、そして地域社会の全てに価値を提供する企業を目指すことで、持続的な成長が実現します。
公認会計士による監査証明の取得は、財務の健全性を証明するだけでなく、組織運営を見直す貴重な機会です。HP Wayの原則を取り入れ、人を大切にする経営を実践することで、あなたの会社は業界のリーディングカンパニーへと成長できるでしょう。
出典
- Packard, D., Kirby, D., Lewis, K.R. (1995). "The HP Way: How Bill Hewlett and I Built Our Company." Strategy+Business. URL: https://www.strategy-business.com/media/file/8579.PDF
- 厚生労働省「労働者派遣事業許可申請等に係るFAQ」(2024年版)
- アデコ株式会社「派遣スタッフの早期離職に関する調査」(2024年2月)
- 矢野経済研究所「人材派遣市場に関する調査」(2024年度)
- 兵庫県立大学「HP ウェイの揺らぎと組織運営の再検討」(2014年)
当事務所のサービス
当事務所は、労働者派遣事業許可申請に必要な財務諸表の監査証明を提供するとともに、HP Wayをベースにした組織運営のコンサルティングを行っています。財務の健全性と組織文化の両面から、持続的成長を支援いたします。お気軽にご相談ください。
お問い合わせ
預金不足の解決策、純資産不足の解決策、合意された手続、監査のお問い合わせなどお気軽にお問い合わせください。
投稿者プロフィール

- 労働者派遣事業許可に必要な監査や合意された手続に精通し、数多くの企業をサポートしてきました。日々の業務では「クライアントファースト」を何よりも大切にし、丁寧で誠実な対応を心がけています。監査や手続を受けなくても財産的基礎の要件をクリアできる場合には、そちらを優先してご提案するなど、常にお客様の利益を第一に考える良心的な姿勢が信条です。お困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。
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