手許現金有高表の重要性と作成ポイント、そしてひな型(専門業務実務指針4450対応)
労働者派遣事業の許可更新申請にあたって合意された手続を受けるには、多くの書類の準備が必要です。その中でも、「手許現金有高表」の作成は重要な役割を果たしています。これは、労働者派遣事業の許可更新にあたって合意された手続を受ける際に求められる資料であり、事業者の現金管理状況を明確に示すための資料です。
しかしながら、事業者さんの中には、「手許現金有高表」を日常的に作成していない、あるいは作成し慣れていないケースも散見されます。このことが、合意された手続を受ける障壁となることもあります。今回は、労働者派遣事業の許可更新に向けた合意された手続を受ける際に必要となる、「手許現金有高表」の位置付けと、作成にあたってのポイントについて詳しく解説していきます。
1. 「手許現金有高表」の位置付けとその重要性
「手許現金有高表」は、「手元に存在している現金の内訳や金種ごとの金額」を明示したものであり、現金の過不足を見える化するための重要な資料です。
専門業務実務指針4450労働者派遣事業等の許可審査に係る中間又は月次決算書に対する合意された手続業務に関する実務指針では、「会社の当該総勘定元帳の残高を会社入手の自己名義の銀行残高証明書及び会社作成の手許現金有高表(金種別)と突合する」と手続きが示されています。
これは、虚偽の現金残高や不適切な資金管理を早期に検出し、公益性や適正性を担保するための手続きです。
2. 「手許現金有高表」が作成されていることの意義
では、「手許現金有高表」が作成されていることの意義について整理しましょう。
- 帳簿管理の一貫性の証明: 現金出納帳と連動しており、日次または頻繁に更新されていることが望ましい。これにより、現金取引の過不足が明確になり、適切な内部統制が確立されていることを示します。
- コンプライアンスの遵守: 労働者派遣事業の許可更新申請の際には、資金管理に関する内部統制がしっかりしていることが重要です。現金の適正管理は、事業運営の信用性を高めるとともに、行政への説明責任を果たす基盤となります。
これらの意義を踏まえると、「手許現金有高表」は単なる帳簿資料にとどまらず、事業者の信用や運営の透明性を示す重要な証拠資料であることが理解できます。
3. 「手許現金有高表」のひな型と作成ポイント
「手許現金有高表」の具体的なひな型については、事業者さんや顧問税理士が自身の管理に適したフォーマットを作成することが一般的です。

以下に、基本的な内容とポイントを紹介します。
毎日更新・記録を行うこと: 毎日の営業終了時に記帳し、常に最新の状態を保つ。
金種別に分類する: 日本円の紙幣や硬貨の種類別に、それぞれの残高を記録。
実査と突合を徹底する: 毎日現金出納帳の残高と突合する。
原本資料の保存: 作成した手許現金有高表は、保存し、必要に応じて提示できる状態にしておく。
もし、「今から作る必要がある」と考えている場合には、顧問税理士の指導・助言を仰ぎながら、上記ポイントを踏まえ作成すると良いでしょう。
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- 労働者派遣事業許可に必要な監査や合意された手続に精通し、数多くの企業をサポートしてきました。日々の業務では「クライアントファースト」を何よりも大切にし、丁寧で誠実な対応を心がけています。監査や手続を受けなくても財産的基礎の要件をクリアできる場合には、そちらを優先してご提案するなど、常にお客様の利益を第一に考える良心的な姿勢が信条です。お困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。