合意された手続の報酬を安くする意外な方法:顧問税理士との連携がカギ

以前の記事では、合意された手続の報酬がどのように決まるのかについて、実務指針の読み込みや事務所体制の整備といった工数の観点からご説明しました。

今回は、実際に合意された手続業務が始まってからの工数をいかに削減するかという、もう1つの重要なポイントについてお話しします。

報酬を安くするための要素は、大きく分けて2つあります。

  1. リードタイム(納期までの期間)を十分に確保すること
  2. 業務実施中の公認会計士事務所の工数を削減すること

リードタイムについては前回の記事で詳しくご説明しましたので、今回は2つ目の工数削減について、具体的な方法をご紹介します。

最も効果的な工数削減方法:顧問税理士事務所との連携

結論から申し上げます。

合意された手続業務の工数を削減し、報酬を安くする最も有効な方法は、会社の社長様が公認会計士事務所と直接やり取りするのではなく、顧問税理士事務所の担当者と公認会計士事務所がやり取りする体制にすることです。

これにより、公認会計士事務所側の工数が大幅に削減され、その結果として報酬も安くお引き受けできるようになります。

なぜ社長様との直接やり取りだと工数がかかるのか

実は、公認会計士事務所が合意された手続業務をお引き受けした場合に、かなり厄介な問題があります。

それは、社長様がこれは非常に大事な業務だということで、直接公認会計士事務所の窓口になってくださるケースが多いということです。

専門用語の説明に時間がかかる

合意された手続業務では、以下のような専門的な資料や用語が頻繁に登場します。

  • 総勘定元帳
  • 現金出納帳
  • 預金通帳の写し
  • 補助元帳
  • 仕訳帳
  • 試算表
  • 固定資産台帳
  • 基準資産額の計算書

これらは経理に精通している人には当然理解できる専門用語ですが、普通の人にはなじみがないものばかりです。

社長様が直接窓口になる場合、公認会計士は「総勘定元帳とは何か」「現金出納帳とはどういうものか」といった基本的な説明から始めなければなりません。

具体例:資料依頼のやり取り

例えば、公認会計士が「○月の現金及び預金の総勘定元帳をご提供ください」と依頼した場合を考えてみましょう。

経理担当者や税理士事務所の担当者であれば: 「はい、承知しました。正午までにPDFでお送りします」 という簡潔なやり取りで済みます。

しかし、社長様が窓口の場合は異なります。

社長様「総勘定元帳って何ですか?」

公認会計士「総勘定元帳とは、会計帳簿の1つで、すべての取引を勘定科目ごとに記録した帳簿です。会計ソフトから出力できます」

社長様「会計ソフトはうちの経理担当が使っているのですが・・・。」

公認会計士「それでしたら、経理担当の方に『○月の現金及び預金の総勘定元帳を出力してください』とお伝えいただけますか」

社長様「わかりました。ところで現金及び預金というのは・・・」

このように、1つの資料を依頼するだけでも、説明に多くの時間がかかってしまうのです。

コミュニケーションコストの増大

さらに、社長様を経由すると、以下のようなコミュニケーションの流れになります。

公認会計士 → 社長様 → 経理担当者または顧問税理士 → 社長様 → 公認会計士

この伝言ゲームのような流れでは、情報の伝達ミスが発生しやすく、何度も確認のやり取りが必要になります。

結果として、公認会計士の工数が大幅に増加してしまうのです。

顧問税理士事務所の担当者との直接やり取りのメリット

一方、顧問税理士事務所の担当者を窓口にすると、状況は劇的に改善されます。

専門用語の共通理解

税理士事務所の担当者は、会計や税務の専門家です。総勘定元帳、現金出納帳、試算表といった用語は、説明不要で共通理解があります。

公認会計士が「○月の現金及び預金の総勘定元帳をお願いします」と言えば、「承知しました」の一言で話が通じます。

直接的なコミュニケーション

公認会計士 ⇔ 税理士事務所担当者

このシンプルな関係性により、情報伝達がスムーズになり、伝達ミスもほぼなくなります。

資料の的確な準備

税理士事務所の担当者は、どのような資料が必要かを正確に理解しているため、公認会計士が求める形式で資料を準備してくれます。

補足資料が必要な場合も、先回りして準備してくれることも多く、やり取りの回数が大幅に減ります。

疑問点の迅速な解決

会計処理について疑問点が生じた場合も、税理士事務所の担当者であれば即座に回答できることが多く、確認作業がスムーズに進みます。

工数削減の具体的な効果

顧問税理士事務所の担当者を窓口にすることで、どの程度工数が削減されるのでしょうか。

社長様が窓口の場合の工数

  • 資料依頼の説明:2〜3時間
  • 資料の不備確認と再依頼:1〜2時間
  • 会計処理の質問と回答:1〜2時間
  • その他のコミュニケーション:1時間
  • 合計:5〜8時間

税理士事務所担当者が窓口の場合の工数

  • 資料依頼:0.5時間
  • 資料の不備確認(ほとんど発生しない):0〜0.5時間
  • 会計処理の質問と回答:0.5時間
  • その他のコミュニケーション:0.5時間
  • 合計:1.5〜2.5時間

このように、3〜5時間程度の工数削減が可能になります。

公認会計士の時間単価を考えると、これは大きな報酬削減につながります。

当事務所がおすすめする業務の進め方

以上を踏まえて、当事務所がおすすめする合意された手続業務の進め方は以下の通りです。

ステップ1:社長様と公認会計士事務所で基本事項を決定

まず、社長様に公認会計士事務所へ合意された手続業務をご依頼いただきます。この段階で以下の基本事項だけを決めていただきます。

  • 対象月は何月なのか
  • いつまでに合意された手続実施結果報告書が必要なのか
  • 報酬金額の確認
  • 契約内容の合意

これらの大枠だけを社長様にお決めいただければ十分です。

ステップ2:実際の作業は顧問税理士事務所と直接やり取り

契約締結後の実際の作業については、公認会計士事務所と顧問税理士事務所の担当者が直接やり取りする形をとっていただきます。

具体的には次の作業となります。

  • 必要資料のリストアップと提供
  • 資料内容の確認
  • 会計処理に関する質問と回答
  • 補足資料の依頼と提供
  • スケジュール調整

これらすべてを、税理士事務所の担当者に窓口になっていただくのです。

ステップ3:完成報告は社長様へ

合意された手続実施結果報告書が完成したら、公認会計士事務所から社長様へ直接ご報告します。

このように、社長様には入口と出口だけに関与していただき、中間の実務作業は専門家同士で進める体制が最も合理的です。

顧問税理士への依頼の仕方

社長様から顧問税理士事務所への依頼の際は、次のようにお伝えいただくとスムーズです。

「労働者派遣事業の許可更新で、合意された手続が必要になりました。公認会計士奥村佳史事務所に依頼することになったので、実際の作業については、そちらの事務所と直接やり取りしていただけますか。必要な資料の提供など、対応をお願いします」

ほとんどの税理士事務所は、こうした依頼に快く応じてくれるはずです。顧問税理士にとっても、顧問先の許可更新がスムーズに進むことは重要な関心事だからです。

報酬削減効果の試算

顧問税理士事務所との連携により、どの程度報酬が安くなるのか、具体例で見てみましょう。

社長様が窓口の場合

  • リードタイム2ヶ月、社長様窓口の場合
  • 基本工数:3時間
  • コミュニケーション工数:5時間
  • 合計:8時間
  • 時間単価:15,000円と仮定
  • 報酬目安:120,000円

税理士事務所担当者が窓口の場合

  • リードタイム2ヶ月、税理士窓口の場合
  • 基本工数:3時間
  • コミュニケーション工数:2時間
  • 合計:5時間
  • 時間単価:15,000円と仮定
  • 報酬目安:75,000円

この例では、45,000円もの報酬削減が可能になります。

当事務所の場合、さらに業務効率化とリードタイムの活用により、9,800円からという価格設定を実現しています。

その他の工数削減のポイント

顧問税理士との連携以外にも、工数削減のポイントがあります。

資料を事前に整理しておく

必要な資料をあらかじめ整理し、一式揃えた状態で提供していただくと、公認会計士の確認作業がスムーズになります。

会計データの正確性を担保する

顧問税理士に月次決算をきちんと作成してもらい、会計データの正確性を担保しておくことで、公認会計士の検証作業が軽減されます。

レスポンスを早くする

公認会計士からの質問や追加資料の依頼に対して、迅速に対応していただくことで、全体のスケジュールが短縮され、工数削減につながります。

まとめ:専門家同士の連携が最も合理的

合意された手続の報酬を抑えるための2つの要素について、改めて整理します。

  1. リードタイムを十分に確保する(2ヶ月程度)
  2. 顧問税理士事務所の担当者を窓口にする

この2つを実践していただくことで、報酬を大幅に削減することが可能です。

社長様としては、基本方針だけを決定し、実際の実務作業は専門家同士に任せる。これが最も合理的で、かつ経済的な進め方です。

社長様の貴重な時間を、本業の経営に集中していただくためにも、ぜひこの方法をおすすめします。

当事務所の対応体制

当事務所では、顧問税理士事務所との連携を前提とした業務体制を整えています。

  • 税理士事務所向けの資料依頼リストを完備
  • 税理士事務所との直接連絡体制
  • 専門用語を使った効率的なコミュニケーション
  • 迅速なレスポンス

税理士事務所の担当者とスムーズに連携することで、工数を最小限に抑え、その分を報酬削減という形でお客様に還元しています。

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jinzaihaken
jinzaihaken
労働者派遣事業許可に必要な監査や合意された手続に精通し、数多くの企業をサポートしてきました。日々の業務では「クライアントファースト」を何よりも大切にし、丁寧で誠実な対応を心がけています。監査や手続を受けなくても財産的基礎の要件をクリアできる場合には、そちらを優先してご提案するなど、常にお客様の利益を第一に考える良心的な姿勢が信条です。お困りの際は、ぜひお気軽にご相談ください。